記念すべきブログ第一回は、海外レポートです。
いつもいろいろとご指導をいただいているハウスアンドガーデンの井坂恵子専務のお勧めでイギリスのコッツウォルズに行ってきました。コッツウォルズといえばイギリス人の心のふるさとと呼ばれる丘陵地帯です。かつて私はイギリスの湖水地方にロングステイしていたことがあり、こちらはイギリスで一番美しい地方、そしてコッツウォルズはイギリスで一番美しい村として有名で、どちらも甲乙つけがたい魅力があります。
コッツウォルズへはロンドンから車で二時間ほどのドライブ。大学が有名なオックスフォードの町が入り口となります。この距離ゆえ、ロンドンに住んでコッツウォルズの古民家を別荘にしている方も多いとか。この地域はいくつもの小さな村々が丘をこえるごとに点在し、それぞれに独特の雰囲気を持っています。村々は人間が長年かけて踏みしめてきた小路でつながり、ハイキング好きのイギリス人には最高の環境でしょう。
私たちが訪れたのはスノースヒル、ブロードウエイ、バイブリーの村々です。雰囲気は文章よりも写真で味わっていただきたいのですが、古い町に覚える郷愁という感覚で日本の田舎町と共通点があると思ってください。この郷愁を感じたくてコッツウォルズに行ったのかも知れません。これは田舎町だからというよりも景観が変わっていくことに抵抗を覚えるイギリス人気質がそうさせているのかも。コッツウォルズ以外の地域もそうなのです。でも実はこの抵抗は人間に共通したものなのかもしれません。景観をつくる仕事をするわれわれにとって考えさせられる一面でした。
個人的には写真を見てどうしても行きたかった村がスノースヒル。期待以上の静けさと懐かしさに感動があり、また住宅のデザイン的にも大収穫がありました。今回のもう一つのハイライトはバイブリー。近代デザインの父と呼ばれるウイリアムモリスが愛した村です。私もモリスデザインの素材を使うことがあるので、どうしてもその起源を感じておきたかったのです。訪れたのは3月だったので花の季節には早すぎましたが、今頃は家々がオープンガーデンとして自慢の庭を開放していることでしょう。モリスデザインのモチーフになった花々にはお目にかかれませんでしたが、蜂蜜色の石積みの家をバックに草木を見るとき、そこに彼が感じたデザインの理由に少しだけ触れた気がしたのです。
駆け足で巡ったコッツウォルズですが、これからのナチュラルリビングのデザインに生かせることがたくさんでした。特に再確認したことは、長年かけて紡がれた文化の心に洋の東西は関係ないということです。モリスデザインに京唐紙の記憶を感じ、石と木の違いはあるものの人間が共通して求める家の雰囲気に郷愁を覚えることで、優しい気持ちで幸せに暮らせる家とはなんだろうという答えが少しだけ見えたような気がします。
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