これはナチュラルリビングデザインの原点の写真です。
もうすぐ築40年の典型的なアメリカ住宅ですが、
向こうでは今の新築でも同じ雰囲気の家がつくられています。
アメリカの両親とも呼べる方の家の写真で、壁に私の家族の写真も飾ってくれています。
不思議なもので、このリビングとうちの茶の間では、
形は違えど同じ落ち着きが感じられます。
日本ではソファでのリビングに通されてもおちつかない私ですが
このリビングでは抵抗なくすごせるんです。
(ちなみに靴を脱いだ生活なんですが、海外でも靴を脱ぐというところは結構あって、
特にドイツでは多く見られますし、面白いものでアメリカでは州ごとに傾向差があります。)
思うに、人間の「くつろげるかたち」の洋の東西の差というのは
意外に小さいのかもしれません。
大事なのは、畳にしても、フローリングにしても、ソファにしても
ちゃんと本来の使い方をしてあげれば落ちつけるという事ではないでしょうか。
そしてそれらが共通してもたらしてくれるのは、
柱時計の音が似合うような、重い時間の流れが見える空間です。
長い長い時の流れに批判を受けて残ってきた住まい方がいちばんおちつくのです。
新建材住宅の居間にお年寄りが所在無く座っている写真を見るとき
たとえそれがたたみの部屋であってもとても悲しくなることがあります。
いい家の条件にはどの年代の家族にも似合うということがあるのではないでしょうか。
どんなにバリアフリーにしたところで、今流行りの表面的なデザインの居間では、
落ち着きというものを見出すのは難しいと考えています。
これから家づくりをされる方は、この「長い時の批判」という点を
意識していただきたいと思います。
ところで、ナチュラルリビングでは洋書スタイルが中心なのですが
実は和の空気感というものを織り込んでいます。(靴を脱ぐ点だけではないですよ)
住まい手はわれわれ日本人なのですから、心に刻まれた「時の批判」を
持っているはずと考えているからです。
でも、そんなに難しく考える必要はありません。
伝えていくことの連続性と重厚さを忘れないという基本さえ守っていれば
どんなスタイルでも、誰にでも長く愛される家になるのです。