広告でよく見かける坪単価という単語、皆さんはどう思われますか?
「坪〇〇.9万円~」という表示、面白いのは一万円以下はだいたい8千円か9千円です。
例えば「坪30万円」と書くのと「坪29.8万円」ではお値ごろ感が違いますね。
10万円の位が違うことでもそうですし、この例では9が一つに8がひとつで
無意識の中にダブルでお得だよと刷り込む数字です。
スーパーのセール品じゃないんだから・・・。
さらに“~”という表示にもご注目。
「ワイン各種1500円~」のようにいろいろな商品がある中で、
一番お安い商品がおいくらですよ、というのならわかります。
しかし、住宅の場合、カタログに並んでいる商品の中で
一番お安い商品を据え付けて、さあどうぞ、とはなりませんね。
(逆に単一商品をワンプライスでやっているローコストは信用してもいいかもしれません)
施工条件が違えばすべて変更です。
あの表示価格は、家族構成も方位も関係なく
箱型の家にした場合と理解するほうがよさそうです。
そんなこといったって、そうそう表示価格からは離れないんじゃない?というあなた
まだまだ甘い。
浴室のグレードを一般的なものにあげたいと希望すれば、
坪に均して1万円くらいアップ、元が坪30万円なら3%も上乗せということです。
キッチンにはこだわりたいといえば、さらに坪2万円のお買い上げでマイドアリ。
細かい変更が積みあがると・・・怖いですねー。
メーカーによっては、コンセントの増設や壁紙の変更でもびっくりするほどで、
最近はさすがにないでしょうが、子供室のドアが別途だったという
冗談のような話もありました。
さらに「XX工事とYY工事は含まれておりません。」とあることも。
これを建築本体工事に入れて坪単価にすると、
あれれ?広告とはずいぶんと離れてしまいました。
各社によって坪単価の定義が違っていて
どこまでを含めるか、どの面積で割るかでも大きく違ってくるのです。
(ここにJAROすらも突っ込まないトリックがあるわけです)
坪単価という言葉は「住める状態」になった最終結果として面積で割ったら
いくらぐらいになりますよ、というのが正しい用法。
だから私は竣工前から坪単価という言葉を使う業者の家は
「建てる」ではなく「買う」と表現するべきだと思います。
「建てる」途上での変更や「住める」状態への追加が加味されていませんから。
メーカーの広告を敵視しようというわけではありませんが、
どこで建てても、あるいは買っても、同じご要望事項なら同じ価格帯に落ち着くのが
家の価格の不思議なところ。
ナチュラルリビングの場合、「住める」状態を割り返した実績値の坪単価は70~80万円。
カーテンとアプローチ工事以外はすべて含む、消費税込の価格です。
もちろん空調も入って凍えることはありませんし、
割るための面積には吹抜けやポーチを入れるようなマジックは使いません。
これを高いと見る方も安いと考える方もいろいろでしょうけど
メーカーで建ててもだいたいそんなところです。
使う素材の選択もさることながら、何より空間のデザインが
他のメーカーさんには、まず同じことができないと自負していますので、
価格競争はしないことにしています。
ちなみに近所の大工さんや工務店さんが「坪だと〇〇円くらいだね」といった場合は
経験則による「住み始められる価格」を計算していますので
懇意にされている方なら大丈夫だと思いますよ。