この写真はわが家の写真
そしてこの写真はわが家の姉に当たるといえるでしょうか、
ハウスアンドガーデンの井坂恵子さんのイサカハウスです。
実はわが家の外観はイサカハウスの形を模倣したもの、
というよりも新築にあたって井坂さんにお手伝いいただいたものなのです。
ウィークエンドハウスとして建てられたイサカハウスと積雪地のわが家では
その性格が違うので高さまで同じというわけにはいかないのですが
どうしてもこの外観が欲しかったので真似をさせていただきました。
井坂さんにも建築中から何度もわが家に遊びに来ていただいていて
その感想は「イサカハウスがここに飛んできたみたい」でありながらも
「うちとは似てるけど違うので大丈夫よ」と言われていました。
大丈夫?何が?複雑な思いです。
ハウスアンドガーデンをこれだけ敬愛しているので似てると言われたいような、
それでも外観以外はナチュラルリビングですから違うといわれたいような、
どっちに転んでも悩む36歳青年(当時)です。
で、この週末に遊びに行ってきたのですが、わかりました。
全く違います。
ええ、立地条件が。
一言で言うと、ずるいです。
先ほども書いたようにどうしても雪国で解決できない高さの問題は別にして
新潟県にはない傾斜地の感じはどうしても得ることができません。
そして、イサカハウスはイギリスよりもイギリスっぽくてフランスよりもフランスっぽいのです。
かなりのことをしているのですが、かといって装飾過剰なわけではなく
すべてが繊細に絵になっています。
ナチュラルリビングで家をデザインして4年、
井坂さんや根岸社長におそわりながら、建物自体に関してはかなり自信がついていました。
正直、新潟県内では「西洋式」というくくりの家なら
他社よりもはるかに抜きんでているという自負があります。
しかし、庭との関係性を含めると自分の至らなさに愕然としました。
逆にあれだけの庭を描ける井坂さんにますます尊敬が強くなり、
そしてそれを実現する職人さんの柔軟さに驚嘆したのです。
おそらく造園工事の金額という意味では
既製品をきれいに並べるだけの会社と変わらないでしょう。
(井坂さんが夏のあいだじゅう日焼けしていた理由もここにあるわけですが)
しかし、あのような庭をつくれる会社はそうそうありません。
家も庭も同じ、と、いつもの結論です。
いい庭をつくるのに必要なのは資格や価格競争力ではない。
ありていな言い方ですが、
心地いいものをつくりたいという”想い”がなくなってしまっては
お客様に対して以前に、この仕事に対して失礼だというのが私の持論です。
そして、“デザイナーの思うかっこよさ”と“人間的な心地よさ”の間の明らかな違いは
このような心震える圧倒的な刺激がないとわからないでしょう。
イサカハウスの庭で感じた新たな想いをなんとかして伝えていきたいと
次のステップへのエネルギーを充電してきました。
わが家の造園計画は、少し先延ばしとなったわけでありますが
まずは自分の庭を作り上げてナチュラルリビングに活かしていこうと思います。