「当社は経費のかかるモデルハウスを持たないので安いのです」
「我が社は営業を減らし人件費を抑えているのでこんなに安くなります」
「新聞広告に費用をかけるからあの会社は高いのですよ」
どこかで見たり聞いたりしたことありませんか?
実は、昔は私もハウスメーカーのことをこう言って批判したことがあります。
この仕事を始める前は、住宅というのはもっと安くできるものだと考えていました。
しかし、計算してみると家一棟当たりのそういった現場外の経費は、
意外に少ないものでした。
もちろんそういった経費も削減対象にできますが、
合わせて建材の値段や量、施工の人件費を削減しない限り
どうやっても大きくは安くならないのです。
つまり、建材の質を落とすか、仕上がりよりもスピードを重視する職人を使うことが
恒常的に行われているということです。
「同じように見えるものをより安く」はありますが、
「いいものをより安く」はどこの社会にも存在しません。
残念ですね。
ネット社会が進化することで無店舗型の商売による大幅な値下げが実現しています。
これは「同じものをより安く」の好例。
しかし、物販と建築では成果物と経費率が全く違うため、
同じように考えるとびっくりします。
逆に同じような品質のものであれば、どこの工務店でも
ローコストメーカーと同じ成果物ができます。
(それこそモデルハウスも広告も打たない工務店ですからね。)
が、手すり事件の件にも絡むので書いておきたいと思います。
姉歯事件もそうでしたが、デベロッパーや大家の意向による
コスト削減の要求は彼にどう影響したのでしょう。
建築物というのは、住宅であれ、ビルであれ、社会に与える影響が大きい存在です。
ナチュラルリビングの住宅は、少し高いとは思いますが、
適正価格で安全につくることのほうが大事だと思っています。
(これでも結構頑張っているんですよ。)
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