対面キッチンとシューズクロゼットとスタディコーナー。
どれも最近の家づくりには欠かせないもので各社ともに宣伝に余念がありません。
これをつけとけば内覧会でもばっちり、夢の暮らしを演出できます。
でも、ナチュラルリビングの家ではあまり目にすることはありません。
よほど強いご希望が無い限りはご納得いただいた上、採用をしないことが多いです。
流行に逆らって、なんて会社だ!なんて思う前に理由を読んでください。
もしかしたら家づくりの雑誌に踊らされているかもしれませんよ。
まず、対面キッチン。
場所とるんです、ええ、ものすごく。
よくあるのが対面キッチン3.7畳というプラン。
これは2730mm×2275mmのキッチンで一般的なサイズですが
せっかくの新築なのにキッチンがこんなに小さいなんてもったいないと私は考えています。
手元が見えない、あるいはかたづけなくても見えにくいなどのメリットはありますが
調理中に家族と会話というのは少し言い過ぎ。
背中越しでも横にいても家族との会話できる関係は自分で作るもの。
様子を見ていたい幼児時代だってほんの数年。
吊り棚のある対面だと逆に孤独を感じて
カウンターが国境の鉄条網のようになってしまう関係だってあるのです。
また、上記の大きさではスペースが足らず、
仕込中のボールなどを置くスペースは期待できません。
ナチュラルリビングで対面の場合は手元が見えてしまいますが
吊り棚をつけず、フラットで奥行きの大きなカウンターにします。
こうすることで鉄条網はなくなり他の空間との一体感が出ます。
だから少なくとも6畳は必要なのです。
次にシューズクロゼット。
場所とるんです、ええ、ものすごく。
これはあると便利で私の家にもありますが、
厳密には通過式のシューズクロゼットは言われるほどよくないということです。
中で靴の脱ぎ履きをして子供が脱ぎ散らかしてもいい・・・わかります。
でも、通過式にした場合と壁面の全面収納では後者のほうが収容力で勝ります。
ものの本には通過式にしないと奥に入れたものが取れなくなるなどと書いてありますが
それはすなわち使い方を間違えているということ、というよりも絶対的な収納不足。
玄関周りには靴やコートの他にスノーダンプやベビーカーなど通過式収納に入れるには
持て余す大きさの物があります。
通過式にできるのは玄関エリアをかなり大きくとれる家でないといけないのです。
最後にスタディコーナー。
私も家に仕事を持ち帰りますからあると便利です。
が、問題はその位置。
リビングにつけたいというご希望が多いのですが、あいにくリビングの壁は家具に必要。
以前も書きましたが、ちゃぶ台の考えでフローリングのリビングをとらえるから失敗するのです。
ダイニングだと、まあ、いいでしょう。
でも、作業中に背中が空いているというのは実はとても落ち着きません。
目を瞑ってシャンプーする時と一緒。
あまりに無防備だと使わない空間になり物置になります。
適度なこもり感が重要で、ここを分かってデザインしていないと
投資した分の居心地にはならないでしょう。
このようにテレビや雑誌では「これは素敵ですよ!」と押してくるものはたくさんありますが
その本質がわかっていないと踊らされて失敗します。
便利なものは何でも採用したい気持ちをぐっと抑えて、
それぞれの家の性格と、そしてサイズにあった間取りを優先してください。
また、恐らくこのブログをお読みで家づくりを考えている皆さんは子育て前後でしょう。
夫婦のおしゃれ暮らしから子育て時代の安全、そこまでは想像できてもその先は難しい。
人生のさまざまな年代に使いやすい間取りやデザインを考える時には
今の生活に捉われないことが重要です。