先日アメリカで建築をしている方と対談する機会がありました。
まず、ツーバイが日本の気候に合わないという批判については全否定です。
ただし、があります。
高温多湿地帯で当社と同じ通気層無しの建て方でも50年以上は問題なく建っていますし
断熱材の無い建物では150年クラスもあります。
ただし、逆に軸組工法だろうがツーバイだろうが
木の家に断熱材を入れたことで結露からは逃げられない運命だそうです。
ツーバイが日本に合わないのならば断熱材を入れた軸組工法も合うとは言えないわけです。
そこで近年はアメリカでも通気層を設ける方向にシフトしているようです。
これは湿気を通さない窯業系サイディングが増えてきたためだそうで、
樹脂のラップサイディングでは空隙があるために通気層不要とできますが、
窯業系は壁体内結露を防止する必要があるのです。
この辺は外張り断熱でさえ通気層を求める長期優良住宅のばかばかしい制度など
日本も工法に合わせてもっと合理的になるべきです。
なお、この部分はナチュラルリビングではそとん壁の透湿性能でまかなっています。
ちなみに日本の窯業系メーカーが出て行って苦戦しているそうです。
プリントによるペロンとした偽物持ってっても深みある本物が安い国にはかないませんから当然。
また、気密施工への気遣いも相当なものです。
私もアメリカの現場視察で見たことがありますが、逆にパネリングなんかは結構大雑把なので
それをカバーする意味もあるのでしょう。
アメリカは電気が安いので、基本的に24時間空調で窓を開けないという暮らしぶり、
ここは私たちとはちょっと違うようですね。
このせいかはわかりませんが、日本には高気密は窓を開けてはいけないという誤解があって、
窒息ハウスだとか人工呼吸器の家なんていう方もいて閉口してしまいます。
(ちなみに換気量は高気密にしたほうが安定します。)
窓開けたきゃ開ければいいんです。
特に夏は一階閉めて二階あけると快適になります。
換気は第一種換気が主流だそうで、24時間空調と相まって室内の結露防止に大切。
高気密の有無にかかわらず全館均一温度を目指さないと今度は室内側の壁で結露しますから
この辺の考え方は一緒です。
日本のおばちゃんみたいに換気扇の電気代なんて考えません。(←ここ大事!)
高気密にして換気扇止めたら窒息こそしないですが、
安定した換気ができないなら低気密といっしょです。
当社の透湿工法実験棟も見てもらってその疑問にも即座にお答えいただき、
これは長くなるのでまたの機会にご説明します。
それと、そこまでしていてなんでアメリカの住宅は安いのかって疑問が出るところ、
これは、全くの誤解で、実は、日本の家は海外に比べて安いのです。
アメリカでは建材は相当に安いですが住宅価格は日本の二倍くらいしています。
それだけ職人さんが大事にされている世界なのです。
たとえば塗装仕上げなんかも、手仕事=自然素材の日本の業界からすれば邪道でしょうが
手作り住宅の一つです。
確かに家電や車は日本が世界をリードしています。
しかし、残念ながら建築関係はまだまだアメリカのほうが上です。
というか、それは考え方の違いで、快適性を求めることやエネルギーを使うことに罪悪感を感じる
日本の国民性が邪魔をしていたのかもしれません。(私も昔はそうでしたけど)
1つ確実にいえることはアメリカの家づくりはかなり合理的で科学的です。
そして日本車が人気なように、いいものはどの国籍でもいいという考え方です。
私は原発事故が収束していない現段階でのTPPは無謀だと思いますが、
お互いが長所を出し合うグローバルマインドって大事だと思うのです。
でも、日本の建築業界って昔ながらが正しいという人が受けるんですよね。
変わらなきゃ。
ということで現地の現場も案内していただく再会を約束して対談を終えたのでした。
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