プロヴァンスの家に欠かせないと思われていて実は本場では見られないもの。
これを確認しに来ました。
というのもフランスの映画で見る風景と
プロヴァンス風住宅と言われるものの乖離があまりに大き過ぎて
よく私が言う欧も米もごちゃまぜという、
日本の家づくりの一番まずいところがあると感じていたのです。
では実際にどうだったか。
その答えの前に、何故私がこんなにも本場にこだわるかというと
そこでつくられてきた歴史の必然の形を上手に再現しないと
どこかバランスに欠け、表面的で数年で飽きる家になってしまうためです。
さて、プロヴァンスの家にないもの、これを抑えておけば飽きのこない家に少し近づきます。
何と言っても妻飾り。
誰が流行らせたかは不明ですが、スペインでも見つかりませんでしたし
南欧ではないことは確かなようです。
そもそも屋根勾配が緩いので妻幕板にそんなにスペースもありません。
これは参加各社は前からつけないように徹底しているとのこと、さすがです。
強いて言うなら教会の壁上方につけられていることがありますが妻部ではありません。
余談ですが屋根勾配と瓦の形状にも関連があり、緩勾配では丸瓦、急勾配では平瓦が基本、
屋根の緩いプロヴァンスではドーマーはまず見ません。
だからプロヴァンスの家を目指す場合は
急勾配・丸瓦・ドーマー付きなどすると違和感が出てきてしまいます。
次に他の会社の方からの指摘で、上げ下げ窓がないというポイント。
これは盲点でした。
幸いプロヴァンス風住宅は建築したことがありませんでしたので恥をかかずに済みましたが
気をつけたいポイントです。
そもそも窓の種類が少なく、そして窓が小さいのも特徴です。
ついでに花台は窓にはありません。
これはヴォレを開け閉めする時に邪魔になってしまうからでしょう。
逆に私が少し間違えていたところもあります。
それは玄関面の掃き出し窓。
これは意外にも皆無ではありませんでした。
だから昭和の洋風住宅(骨皮スネオ家)のような趣です。
ただ、昭和の洋風の原点であるサザエさん的垣根と庭が必須となっており
プロヴァンスでは、(いやカリフォルニアのパティオでも)必ず背の高い壁に庭が囲まれていて
プライバシーに配慮するようになっています。
ナチュラルリビングでもリビングに掃き出し窓のご要望の際には
必ず外部壁をつけてもらうようにします。
また、その壁もよく日本でみられるような、わざとらしい曲線造形のものは見られませんでした。
ここまでかなり否定的なことを書いてきました。
こだわりを持って建てた方の気分を害すこともあるかとは思います。
しかし、もしあなたが仮に「プロヴァンスにあるような家にしたい」と言ったときに
建築会社が「じゃあ妻飾りや上げ下げ窓がいいですね」などとのたまうのであれば
それは勉強をしていない証拠。
業界の一員として、つくり手にも探究心を持ってもらいたいのでここまで書いています。
装飾系の物は提案すればするほど売り上げにつながります。
それは商売としては正しいことで、経営者の立場からは理解できます。
でも、私たち建築に携わる者は家を建てる人に一時の表面上の満足ではなくて
本質的な永い満足を得てもらうように勉強するべきです。
恐らく今のプロヴァンス風はどこぞやの不動産ディベロッパーが考えたかと記憶しますが
そういう売ればいいという会社は置いといて、しっかりとした理念を大事にしたいものです。
そして、プロヴァンスの家に共通する、とても重要なあるポイント。
これはお話をさせていただく方のみにお教えします。
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