今回フランスからモロッコという、植民地政策の歴史によりある意味文化圏が一緒で
ある意味においては全く違う文化的背景が横たわる国々を訪問しました。
このシリーズのその4に書きましたが風の谷のナウシカの話に絡めて考えます。
ネタばれになりますのでご注意。
ナウシカたちは清浄の地には生きられないように(遺伝子?)操作をされた種族です。
フランスが清浄でモロッコが不浄とかいう話ではないのですが
人の生きるたくましさというのはその地その地で違って当然。
私たちがマラケシュのスークで感じたのは地に満ち、生を全うする人々の姿でした。
それは決して一生懸命というような道徳的美談に結論するものではなく
自分の置かれた立場という物をよく理解したうえでの処世術。
あるいはこういう国々ではニート問題や自殺問題も少ないのかもしれません。
また、プロヴァンスに見られた家いえのつくりも、そこの地の恵みを感じられる設え。
パリとは全く違うゆっくりとした時間が流れています。
さらにモロッコで使用人という言葉を繰り返したのはやはり、それぞれの立場の話。
日本でも高級ホテルやら極上の旅やらでそこでのスタッフが描かれたりしますが
そこに見られるのはその高級ナントカでのスタッフとしての気位。
残念なことに日本的な徹底した社員教育の方向性の違いによって
お客様に奉仕するという感じよりも私はここのスタッフというプライドと
演出されたおもてなしのほうが見えてしまうのです。
この点は王族に使えるという階級社会であるモロッコ、あるいはヨーロッパのほうが
一日の長があり、というよりも文化の根底となっています。
だから、仕える、奉仕するということがそのスタイルに不備があろうとも
とても自然で嫌味がありません。
この点日本の地方でも封建的社会が残るところの一世代前の方々には
「よく来てくんなった」という本当の仕える心=おもてなしが見られるかもしれません。
格差社会を容認するわけではありませんが、これもまたその地に根付いた風土であり、
且つ平等社会が失ってしまう活力なのかもしれません。
(その格差社会のせいでヨーロッパでは日本人が見下されるのですが・・・)
この地球という星にたまたま立つことができた私たち一人ひとりが
人生を思うきっかけなんて何でもいい。
今回はモロッコにとてもいっぱいの力をもらって帰ってきた私でした。
色彩探求の旅は心のパレットに色を増やしたようです。
これにて色彩探求の旅シリーズはおしまい。